右手は少し冷たい。目線を下ろして確かめてみると、濡れていて。
真っ赤な血が、
左手の指先から、滴り落ちていく。
そして、現実に引き戻されて、初めて。左腕に、鋭い痛みが走った。
ハサミの刺さった左腕から、じくじくと血が流れ出てくる。
「……や、…………痛……いっ!!!」
傷口を刃先が抉る。ハサミを抜きたいけど、痛くて抜けない。
真っ赤な水溜まりが出来て。ぼたぼたと、血が溢れる。
「ったく……何でこんなことしてんだよ!!やっていいことと悪いことがあるだろっ!!」
珍しく目を見開いて、怖い顔をする悠真。
悠真の発する怒声で、周りの空気が振動する。震えて、響いた。



