ドア越しにいた子の悲鳴が聞こえなくなったのは、おびただしい量の銃声が聞こえる前だった。
ババババババ、ババババババン!
「どうしてええっ……!あ、ああぁ……えぇぇえぇ……っ」
憎悪剥き出しの目が、ドアのガラスから見えなくなるまで私を見ていた。
何が起こったのか分からないけど、それはきっと、放送の言う"退場"だったのだろう。
退場を余儀なくされた生徒は、死。この場にいた全員が、今それを知った。
意識を保っているのがやっとで、今にも膝から崩れていきそうだ。
ドアには、銃弾の当たったあとがいくつもある。でも、ガラスにはヒビの一つも入っていない。
「これが、退場……かよ」
悠真は腰を抜かして、地面にしりもちをついていた。
もしかしてと思って、私はドアに手を伸ばす。そして、引き戸を開けようとすると。



