恐怖で声が出ない。
体の力が抜けて、膝から地面に落ちる。
震える私の前に立つようにして、悠真が一歩、前に出る。
何をする気?……まさか、悠真は。
嫌な考えが頭をよぎって、私は力を振り絞って、掠れた声で叫んだ。
「やめて……悠真を、殺さないで……!」
死んじゃう……殺される。
確実に自分の死が決まった気がして、私がぎゅっと目を瞑った、そのとき、だった。
はぁ、と悠真がため息を吐いて、制服の胸ポケットから、黒い何かを取り出した。
そしてそれを、後ろにいる私に向けて、大声を張り上げた。
「……波瀬悠真、除外対象だ!俺がこいつを殺す!──お前らは帰れ!!」



