大声を出しすぎて、頭がくらくらした。それでも、何度も叫んで、その度に泣いた。




君はいつか、私の手が届かない場所に行ってしまう。だから、それまでは……




ほんの少しでいい。

少しでいいから、君の隣にいたい。



君に……隣にいてほしい。







廊下の角を曲がって、私がもう一度叫ぼうとした時だった。急に、足が止まった。



───違う、そっちじゃない。




自分じゃない誰かに導かれるようにして、足はゆっくりと、確実に前を進んでいく。




───いけ、夏仍。




そしてまた、背中を押されたように走り出した。気付けばそこはまた、同じ一階の職員玄関前の、廊下だった。



……どうして、ここに。



自分でも分からないまま、足を進めていく。