早くしなきゃ…… 目から溢れた涙は、重力に逆らうことなく、真っ直ぐに地面へと落ちていく。 悠真……聞いて。 私は知ったつもりだった。 本当の君の気持ちに、気がついてあげられなかったんだ。 「───夏仍ちゃん!」 後ろから叫んだであろう汐見さんの声が、ギャラリーを反響して大きく響いた。 私の足は一度だけ、止まる。 「待ってるよ!ずっと……ここでっ!」 歯を喰い縛って、涙を堪えた。 ──絶対に、もう、逃げたりしない。