階段の下から、母さんの声が微かに聞こえた。それからすぐ、バタバタと忙しそうに階段を上る足音が聞こえてくる。
「颯斗。あなた宛に手紙が来てたわよ?」
そう言い終わった途端、サッ、と音がして、ドアの隙間から、何かが部屋に入った。
気になって体を起こすと、ぼやけた視界には、茶色の四角いものが映った。
やがて焦点が合うと、それが茶封筒───母の言う手紙だったことに気付いた。
「……無理はしなくていいけど。せめて、ご飯だけは食べなさいよ」
「…………うん」
「それから母さん、今から急に仕事が入っちゃって……夜まで家を空けるけど」
「……分かった」
ベッドからおりると、俺は地面に転がっていた封筒を手に取った。



