「……お兄ちゃん?」 もう一度呼んでも反応がなかったので、気になって兄の肩に手を置こうとすると。 スッ─── 手が風を切って、兄の体をすり抜けた。 その瞬間、悪寒が背中を走る。 数歩後退りして、私は目を見開いた。自分の体と、兄の体を、交互に見比べる。 紺色の制服。 足もあって、腕もちゃんと二本ある。 私が驚いて、その場で兄の姿を見ながら、固まっていると。 「お前も気付いたんだ。やっと……」 後ろから突然、声が聞こえて、私はすぐさま振り返った。