「……お前!悠真に何やって!!」
轍がシオミさんを引き剥がそうとしているけど、シオミさんは瞬きもせずに、憎悪に満ちた目で悠真を睨んでいた。
「ちょっと!波瀬くんから離れて!!お願い!!シオミさんっ!!」
朱美が訴える。
それでも、手は離れない。
それどころか、逆に締め上げるようにして、力が籠っていく。青い血管が、少し浮き出て見えた。
「私にはお兄ちゃんしかいない。もう騙されない───騙されないっ!!」
ぎゅっと首筋に爪をたてて、シオミさんが怒声をあげた。
「ぐぁっ」と、悠真の口から、苦しそうな声が漏れた。
やめて……やめてよ!
悠真が……死んじゃうじゃない。



