【お兄ちゃん】 頭のなかで、それは何度もエコーして聞こえた。シオミさん……どういうこと? 主催者は─── シオミさんの……お兄さんなの? シオミさんが涙目に鳴りながら悶(もだ)えている。時折、「嫌だ」と聞こえることもあった。 しばらくして、シオミさんの体がピタリと静止する。そして、 「シオミ、落ち着いて話を────」 悠真が話しかけようとした、その時だった。 シオミさんがカッと目を開いて、悠真の首を両手で掴んだ。