『気付かないのかい?
───ユウヒのことさ!
せっかく捕まえたのに、何にもしないまま放っておくってのかい?』
「テメェ……っ!!」
悠真の顔がこれでもかというほどに熱を持ち、怒声が出ないのが不思議なぐらい、悠真は怒っていた。
肩で息をしながら、悠真がもう一度、「ふざけんじゃねえぇっ!!」と叫ぶ。
すると、さっきとはまるで真逆の、鋭く尖ったような低い声になった。
『ユウヒ……ハセユウマを黙らせろ』
シオミさんの肩が一度大きく上下して、震えが止まった。
『はぁ』と声がため息をつく。
『【お兄ちゃん】の言うことが、聞けないのかい?』



