吸い込まれるようにして、溢れた涙が地面に消えていく。
「迷惑なら、どんどんかけてくれてもいいからな。意見だって持っていい」
「悠真……くん」
シオミさんは今にも崩れそうな足を必死に奮い立たせて、悠真を見ていた。
悠真はそんなシオミさんに向かって、そっと自分の手を差しのべる。
カタン、と床にハサミが落ちた。
「ずっと、気付いてやれなくてごめんな。これからお前も、俺たちの仲間だ」
シオミさんは涙を呑み込んで、今まで見たことのない、優しい笑みを浮かべる。
悠真の手に自分の手を重ねると、シオミさんは、言った。
「───良かっ、た」



