爆発まで残り5分となりました


私はきっと、お母さんと離れることもなかったと思う。





あの時、何かが変わっていたら。



私は誰かに対して「それは嫌だ」とか、「やめてほしい」とか、もっと───素直に言えるようになっていたかもしれない。




苦しいことは吐き出したくて、でも、それでもっと苦しくなることを恐れて。




それがずっと、今まで、私を縛っていた。





「怖かったんだよね……」




自分の言葉を信じてくれないこと。

言えなくなること。




自分の言葉が掻き消されること。

捨てられてしまうこと。




シオミさんは、壁に沿いながら立ち上がって、頷いた。




「信じて……くれるの?」