「来ない……で。そう、じゃなきゃ……。私も、この、学校も……」





そう言って、ポケットから出したハサミを、右手に持つシオミさん。それを自分のお腹───正確には、爆弾に向けて、私たちを睨んだ。






そんな精神状態のあやふやなシオミさんに向けて、悠真がこんなことを言った。





「じゃあ、一つだけ……聞いていい?」





悠真は何をしようとしてるの?



全くその言葉の意図がわからず、混乱する私と轍と、朱美。





「もし、答えてくれたら、もう帰ってもいい。閉じこめたりしない」





シオミさんが、無言で小さく頷くと、悠真はふぅっと息を吐いた。





時計の秒針が、カッカッという音を鳴らしながら、確実に時間を刻んでいく。