「夏仍?」
じっと前を見つめる私に気づいて、悠真はすぐに、私の視線の先を目で追った。
「……い、……や、…………来ない……で」
肩で息をしながら苦しそうに呟くシオミさん。怯えているのか、体を縮こませて震えている。
悠真はそおっと近寄って、優しく話しかけた。
「大丈夫。何もしない……あの時会っただろ?……前に、一回だけ」
────あれ?……悠真はシオミさんと、いつ会っていたんだろう。
「………………」
「俺だよ、波瀬悠真。あの時の生徒だから、安心して。な?」
「……悠真、くん。私……っ」
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