苦しそうな声が、がやがやと騒ぐ生徒たちのなかで、それは小さく聞こえた。 「あ?」 「……って、ない……」 シオミさんがポロポロと涙を溢しながら、掠れた声で、必死に何かを訴えている。 「……は?何言って──」 それを聞き取れなかった男子生徒が、シオミさんの片方の腕を強く引いたその時──── 「違うっ!!!どうして……私、が……っ。……あああああああぁっ!!!」 狂ったように暴れて手を振りほどくと、鼓膜を裂けるほどの声を放った。