非常階段に続く右手にある廊下の影に、人の形がうっすらと映る。 恐る恐る顔をあげていくと、廊下の奥には、知らない顔があった。 一度も会ったことがないんだと思う。すぐに誰かはわからなかった。 ……違うクラスの、子なのかな? 透き通った黒い目に、二つ結びでお下げの髪。お腹に巻かれた爆弾と……、見慣れない制服。 この学校の物じゃない。 この学校の……───ものじゃ、ない? 「シオミさん……なんですか?」 「……!!」 私がそう言うと、その子はハッとして、走り出した。非常階段の方へ、──奥へ。