私はそれをポケットの奥まで押し込むと、扉を押して悠真に続いた。
「……見るんじゃねぇぞ」
ギャラリーの前に出て壁がなくなった時、悠真が呟く。
「何を?」
そう言って、地面に視線を落とすと……。視界の隅に体育館が映って、私は思わず足を止めてしまった。
床に敷き詰められているシートには、赤いしぶきがある一点を中心にまかれていて。
その中心にあるのは、腰から上のない、スーツの張り付いた肉の塊。
壁に当たって落ちたであろう奇妙な物体は、山田先生の頭部だったのだ。
「う、っ……」
口のなかに酸っぱさが広がって、私は思わず手で口を押さえる。
今にも飛び出しそうな悲鳴を喉の奥で殺して、その場にしゃがみこんだ。
「は!?夏仍!?」



