「そこの特別教室、もう全部見たの?」 「うん。けど、何にも。誰もいなかった」 よし。探す手間が省けた。 柚希が嘘をつくわけがないし、早く朱美のもとに行こう。 私はもう一度謝ると、「じゃあ行くね」と言って走り出した。 後ろから「また連絡するー」と声がしたので、私は笑ってしまった。 良かった……本当に──柚希が無事で。 角を曲がった時、ちょうど、奥からこちらに向かってくる朱美の姿が見えた。 でも、その表情は、暗くて、険しい。 「どうしたの……?」 朱美が唇を噛んでから答えた。