「そうだね。特別教室側か、ここ──クラスの教室側か……」
「朱美はどっちがいい?」
「私は何でもいいよ、夏仍は?」
しばらく沈黙が流れる。
私もどっちでも、いいんだけど。
「うーん……じゃあ、私は特別教室の方に行く。たぶん、終わるのは同じぐらいだと思うから、そこの階段前で合流ね」
教室から出ようとしたとき、朱美の不安そうな声が、私を引き留めた。
「見つけたら、どうする……?」
「……叫ぶぐらいしかないよ。とにかく、音をたてたりして知らせて」
朱美は嫌そうな顔をして、「うぅ」と顔を隠した。
私も嫌だよ。……何だか、大事になりそうだし。



