ドアの間を抜けて、別世界のような階段の前に着いた途端、私はすぐに腰を落とした。
体の力が抜けて、涙は止まらない。
「……心配かけるなって言ってんのに……」
視界に移る血塗れの靴下も、悠真の足も、歪んで見えてしまう。
「先生が……っ」
「は……?」
「先生が、私に……『死ぬな』って、言った。皆を助けてって、言われた……っ」
「……」
「どうして、そんなこと……私に」
「そんなの知るか!でも、言われたもんは仕方ねぇだろ……先生の分まで、ちゃんと生きるしかねぇんだよっ!!」
そう言う悠真の声は、涙声だった。



