爆発まで残り5分となりました



「……はいっ!」



私は泣きながら言うと、駆け出して、その場を離れた。



どうしてか、もう霧はほとんど消えていて。出口も、遠くからでもわかった。




───ドアが、ある。





遅れて聞こえる足音は、何かを躊躇っているように、途絶えて聞こえてくる。





ドアまで辿り着くと、一度だけ、後ろを振り返る。明らかにさっきとは違う形相。



どこを見ているのかすら分からない虚ろな目、老けた顔。






「夏仍っ!早くっ!!」



階段の上から私を見つけた朱美の声が、ドアを挟んでも遠くにいるのに、はっきりと聞こえてきた。






……ありがとう、先生───