爆発まで残り5分となりました



少しだけだったけど、ふっと緩んだ手。




「逃げて、生き残り、なさい……」




先生は手をゆっくりと離して、そう呟いたのだ。先生が、喋った……。





血液が逆流しているようだ。身体中が熱くなり、咳は止まらない。





「……どう……して」



咳き込みながら言うと、先生は、震える自分の手と手をがっちりと合わせて、真剣に言った。




「早く……しないと、また……あやつ……れ、な……わた、し……も…………か……」



ほとんど聞き取れなくなってきた頃には、先生の震えは、止まってきていた。




「せ、んせい……」



───「死ぬな……皆を、助けろ」




聞こえたであろうそんな言葉と共に、先生の動きが静止した。