爆発まで残り5分となりました



カッと見開いた瞳だけが、深い霧の中で大きく光って見えた。



……体育専門の先生──重野(しげの)先生。




力は私の何倍も、何十倍も強い。



その上、足も速いし何でもできる先生だった。こんなの……敵わない。




「か……はっ」




ガァンガァンと、何度も頭を痛みが襲う。



酸欠の時に体験したような、気の遠くなるような、感覚。




ああ……もう、駄目だ。



最後まで、本当に、私は────









諦めかけていたその時、だった。




「逃げ……なさい、夏仍さん……」