どうしよう……帰れない!
息は白く濁り、瞬時に霧と同化する。
頭はキーンとするし、とてつもなく寒い。どうして……こんなに寒いんだろう。
「悠真ぁっ!!」
叫んでみると、すぐに回りに吸い込まれていくように、声は消えてしまった。
酸素が薄いのか、息が苦しい。
「は……ぁ、どう……しよ」
仕方がなく、玄関の方に行ってみることに。
うっすらとだけど、確実に先は見える。立ち並ぶ下駄箱も、端にある掃除用具箱も。
そして、地面を這うように転がる───一つの黒い影も。
「いやあああっ!はぁ……はぁっ……」
思わず悲鳴をあげてしまい、息が上がる。



