「あれ……、み、みんな……」 自分から逃げたくせに、どうしてこんなにも不安なんだろう。 辺りが徐々に、濃い霧に包まれていく。 ──嫌な予感がする…… 私はすぐさま振りかえって、階段の方に繋がるドアを探した。 が、すぐに、もう手遅れだということに気付いてしまった。 そんな……─── 「……ドアが、ない」 近くにある下駄箱の形ははっきりと見える。壁も、あるのに。 ドアだけが、なくなっていた。