爆発まで残り5分となりました





家の前の道に車が止まる。



シートベルトを外して、ドアを開けようとすると、お父さんが私の腕を掴んだ。




反射的に、私は振り向く。




「夏仍から別れの言葉を言ってきなさい。お父さんが行っても、良いことはないから」



「うん」と頷くと、お父さんの手をほどいて、車から降りる。





スタッ、スタッ。



地面を踏みしめて、確実に前に進む。靴の底が冷たい。手は震えている。



握りこぶしを作って誤魔化して。それでも、震えは止まらない。





「大丈夫。大丈夫、大丈夫……」




ひとりでに呟いて、私は目の前まで迫っていたドアを開いた。



いつもよりも、ずっと重く感じた。