───四月二十二日、土曜日。 「準備は出来たか?」 お気に入りのバッグも、いつの間にか家のリビングにあった。 こっちの準備も……出来てるんだ。 「うん、できたよ!」 わざと声を張り上げる。 「じゃあ行くか。アイツの所に」 "アイツ"と冷めた響きは、お父さんの口からは初めて聞いた。 「……うん」 お父さんの手を取って、車に向かう。 絶対の言葉は 守らなきゃ あの人に逆らってはだめ──