「えらくお利口さんだね、夏仍」
「だって、お父さんがいるもん!」
そこに、お母さんがやって来た。
お母さんは髪を結ぶと、お箸を持って手を合わせた。よし、出番だ。
「さて、じゃあ、皆で食べましょうか。夏仍先生、お願いしますよ?」
「先生?」とキョトンとしているお父さんをそっちのけで、私は手を合わせる。
「はぁい。じゃあ、お手てを合わせて、───いただきます!」
「「いただきます」」
それから静かになると思いきや、お父さんが、口を開いた。
「そういや、今日は夏仍の入学式だったんだな」
「うんっ!すっごくランドセルが重くてね。帰りは大変だったんだよっ」
私はお箸を振り回しながら言う。



