爆発まで残り5分となりました



「本当に、夏仍はやさしいわね」




前髪を、そっと、お母さんの手がかき分ける。太陽を背にしても、お母さんはずっときれいだった。




「それ、柚希のお母さんにも言われたよぉ?」



やさしい?


この私の、どこが優しいのかなぁ?





お母さんは、私の体を抱きしめる。




「そうなの?ふふっ。お母さん、やさしい子は大好きよ」



「じゃあ、お母さんの鞄も持ってあげる!私は力持ちだから!」





そう言って私が鞄を取ろうとしたとき、お母さんの顔が目の前にきて、桜のような薄ピンク色の唇が、動いた。




「……そっかぁ。じゃあ、お母さんが今から言うこと、聞いてくれる?」



「うん、いいよぉっ!」