「だってー、お父さんは足はやいから、ずるしちゃうんだもん!」



少しだけ日に焼けた、柚希のお父さんだ。



ドシャッと、真っ赤なランドセルを揺らして、柚希は頬を膨らませる。



なんだか、柚希のほっぺたが、プチトマトみたいに真っ赤だ。






「ずるなんかじゃないぞ!ちゃんと、こうやって鍛えてはやくなったんだ」



柚希のお父さんは、足の筋肉を叩いて見せる。おぇー、ムキムキだぁ。




「ムキムキなお父さんは嫌いぃー」



「なっ!母さんは好きなんだぞ」



「だって、私は柚希だもん。母さんじゃないもーん」





私はクスクスと笑って、二人を指さした。




「喧嘩するほど仲がいいって、私のお母さんが言ってたよぉ」