「夏仍、おそいーっ」



柚希が私の手をとって、くるくるとその場で回りだした。



子馬のしっぽのような柚希の髪の毛が、ぶんぶんと揺れている。





「だってぇ、お母さんがねぼうしたから、おおいそぎでお家をしゅっぱつしてきたのに」



私がそう言うと、柚希は「もぉ」と言って、回るのをやめた。






「あら、夏仍ちゃん。おばさんは、はやく行ったら夏仍ちゃんに会えるって柚希が言うから、おおいそぎで来たのよ?」



この人は、柚希のお母さん。




私のお母さんと、とっても仲がいい。少し前には、「おちゃかい」とかいうものをするために、私の家に遊びに来たんだ。




「そーなんですか?朝からみんな、おいそがしいんですね」



習ったばかりの単語を使って、敬語とやらを作ってみる。



柚希も私も、今日から小学生なんだ!