聞き覚えのある声が、どこかから流れてくる。前とは違って、ハッキリと。
『……ケケケケッ。馬鹿だね、本当に。自分の本当の気持ちに気づかせてあげたってのに、キミがボクを裏切るなんて。
まさか、友達が助けに来るとはね』
そしてようやく、その声の出所が分かって、心臓がバクバクと動き出す。
──スピーカー……だ。
あの曖昧な意識のなかで聞こえた音。
もし、実際に……スピーカーから流していたとしたら。
『ハァ。キミには失望した、残念だよ』
嘲笑うような口調で、声は続ける。
これは……幻聴じゃない。じゃあ、さっきの声も……私だけじゃなくて。
────ここにいる皆にも、聞こえていたってことなの?



