爆発まで残り5分となりました




「ユウマは……?」



聞き覚えのない名前。



さっきの、ユウマは……?


残ったのは、中身のないサブバッグと、沈んでいく黒い影。






「ほら、皆待ってる。早く帰ろう」



───ただ、この手を離したくない。私の目からは、理由もない涙が溢れる。




そうだった。


悠真は陸上が好きだから、こんなにも肌が焼けてたんだよね。



ユウマはいない──悠真は、ここにいる。




「悠真……」



「どうした?こんなに汚れて。それより、霧雨も轍も、お前を待ってるぜ?」



待ってる、って?


私が聞かないうちに、悠真が強く私の手を引いた。