あの時の私は、きっと。
無事に卒業して、高校生活を楽しく送れること。この先も、悠真がいるという安心感に、浸っていたから。
生き残ることがどれだけ重要かを、分かっていたから、言えたんだ。
『それはしたいよ』
それはしたい?
今考えると、すぐにはそう言えない。だって、卒業したら、みんなバラバラになる。
私は……どうしてあの時──それが分からなかったんだろう。
皆といられる時間と、他人の命。
皆といたいのなら、この先、誰かが殺されていくのを感じながら、このゲームを続ければいい。
他人の命を救いたいのなら、私達は死んで、皆との時間を削らなくちゃいけない。
自分の幸せより、他人の命の方が、価値が大きいはずなのに。
……どうしちゃったんだろう、私。



