「嬉しかったんだ。中学三年になって、中学校生活最後の年に、久しぶりに同じクラスになれたこと」
そうだよね。……私も、悠真と一緒のクラスになれたのは、嬉しかったよ。
でも、そこから。朱美の声は、だんだん小さくなっていく。
「今も、こうやって一緒に行動していられること。午前中でお別れなのに、皆とまだいられること。だから、卒業するよりかはずっと良いんだって、心のどこかで思い始めてるの」
本当はいけないのにね、と言ってから、悲しそうに笑った。
「死への感覚が、だんだん麻痺していく……。人が次々に死んでいくのに、その分、自分が生き残るからって、アタシの中の悪い自分が、言い訳をする……」
「……朱美」
最後の方は、金切り声になっていた。机の上で上半身を震わせて、朱美が言う。
「もっと一緒にいたい……っ。なのに、こんな形で、お別れするかもしれないなんて、そんなの嫌だよ……」



