私は何がしたかったんだろう。
説得する───なんて、一人で出来るわけないのに。無茶苦茶だ。
……結局、駄目だった。悠真もついてきてくれたのに、何もできなかった。
帰りの廊下。そんな気持ちに負われて、足が思うように進まなかった。
「ごめんね……」
そう呟くと、悠真は「別に」と言って、少しだけ暗めの声で続けた。
「俺らは忠告したんだ。……後は、あいつらに任せよう」
「……うん」
皆、どんな顔をするのかな。
「何で説得できなかったの」って、怒るかな。嫌われる、かな?
私……迷惑かけてばっかりだ。ホントに。
私達が教室に戻ってきたのは、四時五分ぐらいだった──。



