酷い悪口を言われたり、傷つけ合うことだって、何度もあった。
───でも、その中にだって。
誰かを生き残らせるために自分が犠牲になることを選んだ人も、ちゃんといた。
このレクリエーションは、他人の事を考えて動くものじゃない。
主催者が望んだように、騙し合って、傷つけ合って、お互いをボロボロにして、最後に勝ち残った人こそが勝者と言い張る、最低なゲーム。
だけど、もし──悠真を助けてくれたような人が、沢山いるなら。
その時はきっと、生き残れなかった人にだって、必ず恩は帰ってくる。
「だから、俺は絶対に、アイツの死を無駄にしない」
情けない気持ちを胸の奥で殺して、悠真がきっぱりと言い放つ。
「けーどさ。あんまり俺らに心配かけんなよ?さっきみたいに」
轍がにやっと笑って、悠真の肩に手をのせた。



