思わぬ返答に、言葉が詰まる。
「誰かは知らなかったけど、俺が先生らに追われてたとき、そいつが通りかかって……」
三人は真剣に、悠真の話を聞いている。
「『あと三分だから、頑張れよ』って言って、俺の代わりに、先生を引き付けてくれてたんだ……」
悠真の口から、震える声が出る。
ってことは、つまり……
「もしその子がいなかったら……」
「確実に、俺は死んでた……」
悠真は左腕を目線の高さまで上げて、私たちに見せる。
そこには、何度も銃弾がかすって、破れた制服の生地。
流れてきたであろう腕の血が、手首の周りのカッターシャツにまで染みていた。
傷は浅いみたいだからよかったけど、悠真は悔しそうに、歯を食い縛っていた。



