コンコン、……コン、コン。 だんだん弱くなっていくノックの音。私は嗚咽を噛み殺して、鍵を開ける。 ガチャ、とドアノブが回って、重たいドアが、ゆっくりと奥に引いていく。 それと、同時に。 「……んだよ。べつに、探しに行こうとしなくても、すぐに帰ってくるのに」 少し拗ねたような、幼さの残った声が、頭上から聞こえてきた。