遠くから、だんだん鮮明に聞こえてくる、二人の声。 何かに驚いているような声が、やがて鼓膜まで流れてきた。 「……山!佐山っ!」 「夏仍……っ!」 何で私なんか、呼んでるの?あ、やっぱり……二人も、恨んでるの? 目頭が熱くなって、顔が涙でぐしゃぐしゃになる。俯いて顔を覆い、ぐっと手に力を入れた時。 コン、コン。 コン、コン……。 微かに聞こえたノックの音に、私は思わず顔をあげた。