「やっぱり、私、見てくる……」
足を前に出そうとした途端に、轍に左腕をがっちりと掴まれた。
「おい!待て……って!」
「離してよ……じゃなきゃ、悠真が……!」
私が言うと、轍が私の手をぐっと引っ張って、怒声を出す。
「お前まで死んだらどうするんだよ!!」
「……っ」
そりゃあ、私だって死にたくはない!けど、このままじゃ……あと、ほんの数十秒で帰ってこれるなんて、信じられないよ。
「まだ死んだなんて……決まってないんだろ!!だったら俺らが、生きて帰ってくるって信じなきゃ、少なくとも、悠真が気持ちよく帰ってこれねぇ!!」
「それでも……!私、放っておけないよ……」
目に涙が滲んで、私はごしごしと目に制服をあてて擦った。
───



