「べ、別に良いでしょ」
「いやいや。癖になるって」
と、悠真は笑っていた。
さっきまで、ずっと難しそうな顔をしていた気がして、気になっていたけど。
きっと、他人には言えないことがあったんだろう。
もし……私が、少しでも悠真の助けになれてたなら、私はそれで嬉しいよ。
「……良かった、のかな」
何故か分からないけど、ふいに、そんな言葉が口から溢れる。
「え?」
「ううん、何でもない」
自意識過剰っていうのかは分からないけど……私は、自分を責めすぎてたのかもしれない。
「ん。じゃあ、そろそろ二人起こすか。退場の放送も、かかる頃だし」
「も、もうそんな時間……」
時計を見ると、針は二時二十三分を指していた。



