悠真がおかしそうに、ふっと笑う。
「言いたいこと、あるなら言えば?」
作品の入っている棚に二人でもたれて、私達は窓の奥に目を通していた。
言いたいこと……なんて、言いたくても言えないはずなのに。
「……私が一番迷惑かけてる」
気付いたら、すんなりと口に出していた。
悠真は「そうかな」と言って、体育座りをやめて、あぐらを組む。
「他人から見たら、夏仍よりも自分が迷惑をかけてるって、思ってるじゃん。
それと同じ。そういうのはさ、何でも自分の思い込みなんだよ」
「じゃあ、悠真も、そう?」
こう聞くのはおかしいと思ったけど、私は聞いてみた。しばらく間をとって、悠真が答える。
「そう……かもな。さっきの事も、俺にとってはめちゃくちゃ後悔してるし」
「こう、かい?」



