「そっ、そうなんだ……何か、ごめんね……」
私が謝ると、悠真はまた、「ごめん」と謝った。
きっと、嫌な思い出とかがあるんだよね……だから、隠したかったのかも。
何か、悪いこと聞いちゃった……な。聞かれたくないことだって……人にはあるのに。
悠真……ごめん。
それ以上は、その話題には触れないようにした。……と、いうよりも……
──触れちゃいけないような、気がして……
ひゅううと音がして、窓の奥の大きな木々が揺れる。
桜のつぼみもちらほらあって、春にはあと一歩の所まで、来ていた。
「何だよ。悠真らしくないなぁ」
轍が笑い飛ばすと、悠真も笑って「そうかなぁ」と襟をただしていた。
……でも、全然上手く、笑えてなかった。



