「いいって。じゃあ、また」
『うん……っ』
プツリと、そこで電話は切れて、柚希の声は聞こえなくなった。
「小南、なんて言ってた?」
悠真の不安そうな声が後ろから聞こえて、私は振り向いた。
「山橋くんが倒れたみたい。理科室の準備室のドアに触れたから……って」
「幸介が!?準備室って……マジかよ」
やはり仕掛けかなにかがあるのだろうか。
検証してみるにも危ないし、しばらく体が動かなくなるのは不便だ。
朱美が続けて声をあげた。
「夏仍、話は波瀬くんから聞いた。……柚希と二人が持ってきてるんだよね?」
電話中に悠真が話してくれたのかな?
私が頷くと、轍が何かを思い出したように明るい表情を浮かべた。



