『私達、ね。三階の理科室にいるの。でも……山橋が準備室に入ろうとしたら、いきなり、倒れて……』
────準備室……?倒れた?
私もさっき、準備室に入ろうとして……
『体が動かないって、言ってる……どうしたら、いいの……っ?』
柚希の声は、何度も涙を吸い込んだようで、途中でむせたり詰まったりしていた。
全く同じ症状というのに、自分の耳を疑ってしまった。
もしかして、罠……?それとも、入っちゃ駄目っていう、警告?
「大丈夫……山橋くんなら大丈夫だよ。体も動くようになるし、しばらく安静にさせてたら、元気になるから」
『うっ、うん……分かった』
「何かあったら、また聞いて。いつでも待ってるから、ね?」
『あ……ありがとう、夏仍』
安心したような声が聞こえて、私もほっとした。……良かった、まだ、柚希は生きてる。



