ヴー、ヴー、ヴー。
鈍い音を立てて、制服のポケットが微かに動いた。
「何っ!?」
朱美は驚いて、席から離れて飛び退いた。
電話?……こんなにバイブが続いてるってことは、電話なのかな?
ポケットから携帯を取り出すと、三人は私を見て驚いたような目をしていた。
「夏仍……それって、携帯!?」
「さ、佐山……それ、どこで」
二人とも困惑した表情を浮かべている。悠真だけは、私が携帯を持ってきていることを知っていたから、あまり驚いてはいなかったけど。
「ごめん、……また後で話すよ」
「それって小南からか?」
唯一話についてきている悠真が、私を見て早口でそう言った。



