即座に部屋を飛び出し、玄関まで来ると。




「いってらっしゃい!」



おばさんが雑に手を振り、忙しそうに台所に戻っていった。




卒業式なのになんでこんなに忙しいんだろう。まさか寝坊するなんて!






「───なーつよっ!」



家の前の道路に出たとき、左側からいきなり声がした。



「ひゃっ!?」



「ははっ、なに変な声出してんだよ」



悠真(ゆうま)がそこにいた。悠真は幼馴染みで、保育所からずっと一緒だった。


少し焼けた肌に、ぱっちりとした目が特徴的な、男子。



クラスの中でも目立つ存在──つまり、私のクラスメイト。うーん、まぁ……今日で、クラスメイトではなくなるけど。



「今日で俺らも卒業かぁ」