「お、お前だって泣いてんじゃん!第一、一番泣いてたの霧雨だし」



「な、何でアタシなのよ!!」



そうだったんだ。私、……一人じゃなかったんだ。



顔は涙でぐしょぐしょで、でも、本当に嬉しかった。胸の奥から込み上げてくる気持ちが、ふいに、言葉に出る。



「……っ、ありが、とう」


「夏仍……」



悠真は安心したような目で、私を見ていた。頭に乗っていた手が、そっとのけられる。



「悠真も、朱美も、轍も……ありがとう」





「よしっ!じゃあ、次に行く教室でも決めるか!皆、ちゃんとボード見ろよ!」



「思ってたけど波瀬くんって、意外と字が汚いんだね」



「わ、笑うなよ霧雨……!」



ここまで仲良くなるのには時間がかかったし、まだ私たちは、皆のことを全部知った訳じゃないけど。


皆のことをもっと知りたい。