「安心しろ、霧雨。そこまでイカれた頭のやつは、このチームにはいねぇよ。……皆、自分のみが助かることなんて考えてねぇし。助かるなら、この四人で。だろ?」
悠真が朱美の目線の高さまで腰を落とすと、小さく微笑んでそう言った。
「……あ、そうだ。シオミさんも、ね」
私が言うと、悠真が「あ、そうだった」と言ってから咳払いした。
「ま、これだけは言える。皆で死ぬなんてごめんだ。自分勝手でごめん……けど、
──俺は、お前らと生きて帰りたい」
どくん、と心臓が鳴る。
私も、皆と、生きて帰りたい。
「……うん、私も」
「悠真カッケー!俺も、皆と帰る!」
「あ、アタシも……」
この時、悠真がいつもよりかっこよく見えたのは、気のせいだったのかな……。
心臓が、いつもよりも煩かった。



